ぼくが中学生のころから好きで読んでいた朝井リョウの小説を紹介したいと思います。
たくさんあるので、ランキング方式で紹介していきます。独断と偏見で順位付けをしていますが、どの小説も好きでおすすめできるものです。
ざっとあらすじと感想を書いています。
おすすめランキング17位~11位
17位 何様
あらすじ
生きるとは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。直木賞受賞作『何者』に潜む謎がいま明かされる──。光太郎の初恋の相手とは誰なのか。理香と隆良の出会いは。社会人になったサワ先輩。烏丸ギンジの現在。瑞月の父親に起こった出来事。拓人とともにネット通販会社の面接を受けた学生のその後。就活の先にある人生の発見と考察を描く 6 編!
新潮文庫
「何者」のアナザーストーリーとなっているため、先に「何者」を読んでからこの本を読むとより楽しめると思います。
16位 世にも奇妙な君物語
あらすじ
異様な世界観。
講談社文庫
複数の伏線。
先の読めない展開。
想像を超えた結末と、それに続く恐怖。
もしこれらが好物でしたら、これはあなたのための物語です。
待ち受ける「意外な真相」に、心の準備をお願いします。
各話読み味は異なりますが、決して最後まで気を抜かずに――。
世にも奇妙な物語調の話が5本収録されています。
物語最後に起こるどんでん返しでぞくぞくしました。
15位 武道館
あらすじ
恋愛禁止、炎上、特典商法、握手会、スルースキル、無料文化、卒業……
文春文庫
この数年であっという間に市民権を得た言葉たちの中には、
アイドルという存在から発生したものも多い。
新しい言葉が生まれた場所から見えてくるのは、今を生きる人々の様々な一面。
現代社会での生き方を模索するすべての人へ送る、真摯な物語。
アイドルが舞台となるお話。
メンバー間でのどろどろとした人間関係の話は少なく、熱意をもって必死にアイドルをしている姿が描かれているのが良いと思った。
自分が正しかったと思える選択をするために懸命に行動していかなければ。
14位 少女は卒業しない
あらすじ
取り壊しの決まっている地方の高校、最後の卒業式の一日。少女7人が迎える、それぞれの「別れ」を、瑞々しく繊細に描く。切なくも力強いメッセージが光る全7話。
集英社文庫
少女7人のそれぞれの別れ。
切なさ、哀しさ、晴れやかさ、いろんな別れがある。高校生の卒業って青春だなぁ。
13位 もういちど生まれる
あらすじ
彼氏がいるのに、別の人にも好意を寄せられている汐梨。バイトを次々と替える翔多。絵を描きながら母を想う新。美人の姉が大嫌いな双子の妹・梢。才能に限界を感じながらもダンスを続ける遙。みんな、恥ずかしいプライドやこみ上げる焦りを抱えながら、一歩踏み出そうとしている。若者だけが感受できる世界の輝きに満ちた、爽快な青春小説。
幻冬舎文庫
5篇収録されており、どれも短編で読みやすくなっている。
それぞれの短編の登場人物が別の短編にも登場しており、また違った角度からその人物が描かれていて、読んでいて楽しい。
20代前後の少年少女のもやもや、葛藤といった心情を抱えながらも前に進んでいく姿がとても素敵に思えた。
12位 星やどりの声
あらすじ
東京ではない海の見える町で、亡くなった父の遺した喫茶店を営むある一家に降りそそぐ奇蹟。若き直木賞受賞作家が、学生時代最後の夏に書き綴った、ある家族が「家族」を卒業する物語。
角川文庫
家族がテーマのお話。
兄弟の心情がやさしくて暖かい。爽やかな気持ちのままずっと読み進めることができる。
家族っていいなぁ。つながりっていいなぁと思える。
お父さんが残した秘密が明かされる場面、めっちゃうるうるしてしまった。
11位 世界地図の下書き
あらすじ
両親を事故で亡くし、施設で暮らす小学生の太輔。施設を卒業することになった高校生の佐緒里のために、仲間たちと「蛍祭り」を復活させる作戦を立てはじめ……。
集英社文庫
「逃げた先にもちゃんと、これまでと同じ広さの道があるの」
この言葉が好き。
今いるところが辛かったら逃げてもいい、逃げることは悪くないよと伝えてくれた本。
その考え方はずっと自分の中に残っていて、大切にしている。
おすすめランキング10位~1位
10位 風と共にゆとりぬ
あらすじ
読んで得るもの特にナシ!
500枚超の楽しいことだけ詰まった大ボリュームエッセイ集。
文春文庫
ただただ面白い。それだけの本。
肛門記では作者自身が患った痔瘻のすべてが約70ページにわたって書き綴られている。
リアルすぎて読んでいるこっちまで痛くなってくるほどだった。
9位 ままならないから私とあなた
あらすじ
天才少女と呼ばれ、成長に従い無駄なことを切り捨てていく薫と、無駄なものにこそ人のあたたかみが宿ると考える雪子。すれ違う友情と人生の行方を描く表題作。男が先輩の結婚式で出会った美女は、人間関係を「レンタル」で成立させる業者だった―「レンタル世界」。既存の価値観を心地よく揺さぶる二篇を収録。
考え方も感じ方もみんな違ってみんないい。
そんな言葉はよく聞くけども、自分が信じている価値観をわかってほしい。そのほかの価値観は受け容れられない。無意識のうちにそうなっていると感じる。
合理的で効率的が求められている社会で、その人だけが持っている何かを生み出すのは難しい。
それでもままならないままで生きていかなければと思う。
8位 桐島、部活やめるってよ
あらすじ
バレー部のキャプテン・桐島の突然の退部が、5人の高校生達に波紋を起こして……。至るところでリンクする、17歳の青春群像小説。
集英社文庫
作中に桐島は出てこないが、部活をやめたことによって起きた小さな変化を描いている。
クラスの中でカーストのようなものは少なからずあって、上のほうでも下のほうでも悩みはあるし、ないものねだりをしてしまう。
高校生のときの心情を思い出して、自分もそうだったなぁと思える。
7位 死にがいを求めて生きているの
あらすじ
誰とも比べなくていい。そう囁かれたはずの世界は、こんなにも苦しい――「お前は、価値のある人間なの?」植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。二人の間に横たわる“歪な真実”とは? 毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、目隠しをされた“平成”という時代の闇が露わになる。
中央公論新社
生きがいとはなにか、何のために生きているのか。
登場人物の価値のある人間と思われるために足掻く姿は、痛々しくて滑稽に見える。しかしそれを楽観的に馬鹿な奴だとは思えない。自分の中にも当てはまっていると感じるから。
ボリュームのある1冊だが、終盤にかけてばらばらの人物のお話が重なっていくところが素敵。
6位 チア男子!!
あらすじ
大学1年生の晴希は、道場の長男として幼い頃から柔道を続けてきた。だが、負けなしの姉と比べて自分の限界を悟っていた晴希は、怪我をきっかけに柔道部を退部する。同時期に部をやめた幼なじみの一馬に誘われ、大学チア初の男子チームを結成することになるが、集まってきたのは個性的すぎるメンバーで……。チアリーディングに青春をかける男子たちの、笑いと汗と涙の感動ストーリー!
集英社文庫
さわやかで青春を感じられる。
チアリーディングをあまり知らなくても、笑顔や歓声、躍動している姿など感じとれます。
ステージの上で1つになる。そのためにぶつかって、すれ違って、高めあっていく。
団体競技、チームっていいなぁって思わせてくれます。
5位 どうしても生きてる
あらすじ
歩き続けるのは前に進みたいからではない。ただ止まれないから。それだけなのに。
「健やかな論理」「流転」「七分二十四秒めへ」「風が吹いたとて」「そんなの痛いに決まってる」「籤」6篇収録。
幻冬舎
この本を読んで心が温まったり、踊ったりはしない。
6篇収録させているが、どれを読んでもずっと心をわしづかみにされている気分になる。
まっとうな人間として見られ、生きていくために必要なバランス感覚の負側が色濃く描かれている。
4位 発注いただきました!
あらすじ
有名企業からの原稿依頼に直木賞作家はどう応えるのか。
「これが本当のお仕事小説だ!」無理難題(!?)が並ぶ発注書→本文→解説の順で20編を収録!
集英社
タイアップ作品をまとめた本は珍しくて新しいと思う。
短編ばかりなので、さらさら読めてしまうし、作品の最後には感想戦として作者本人が振り返って感想を述べている。
本を読んだ後の誰かな内容を伝えたくなる気持ちを、本の中で作者と共有できるところが素敵で読んでいて楽しい。
3位 学生時代にやらなくてもいい20のこと
あらすじ
そうして万事無為、やらなくてもいいことばかり為した日々の総決算、就職活動をついに迎え……。華々しい「大学生作家」の看板の陰で繰り広げられる意外と残念な日々を綴った、爆笑エッセイ20篇!
文芸春秋
朝井リョウの人柄、人間性が詰め込まれた本。
エッセイってこんなに面白いものかと思い知らされました。
一つ一つのお話が短く読みやすいです。北海道への旅(未遂)が好き。
2位 スペードの3
あらすじ
有名劇団のかつてのスター“つかさ様”のファンクラブ「ファミリア」を束ねる美知代。ところがある時、ファミリアの均衡を乱す者が現れる。つかさ様似の華やかな彼女は昔の同級生。なぜ。過去が呼び出され、思いがけない現実が押し寄せる。息詰まる今を乗り越える切り札はどこに。屈折と希望を描いた連作集。
講談社
えぐみがすごいお話。
誰もが持っている嫉妬や妬み、劣等感などが渦巻いていて読んでいてぞくぞくする。
何も武器を持ち合わせていなくても、そのままの姿で突き進んでいかなければならないと思わせてくれる。
待っていたって革命なんか起きないから。
1位 何者
あらすじ
就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。
新潮文庫
第148回直木賞受賞作品。2016年10月に映画化もされました。
読み終えた後、悶えました。
就職活動を通して人間のずるくて、ださくて、でも他人より上に立ちたいみたいな少し汚い部分が描かれています。
話の中盤までは主人公の行動や考え方に共感しながら読み進めていくと、最後の最後でずったずたにされます。気持ち良いです。
ぼくも何者かになりたい。
ぼくが朝井リョウ作品を読み漁るきっかけになった本です。
おわりに
以上が朝井リョウ作品ランキングでした。
これはぼくの完全な主観で順位付けしたものですので、間違いなく全て面白い作品です。
朝井リョウの本を読んでいると感情をぐちゃぐちゃにされる瞬間が多くて好きです。
女性の心情や誰もが持っている心の汚い部分を文章にするのが上手だと感じます。
今回ランキング上位になっている本は読んでいて心を握りつぶされる感覚に陥るものが多く、読んだ後自分を顧みたり反省したりすることもしばしばです。
気になった方はぜひ読んでみてください。